【五等分の花嫁93話感想】ツンデレツンな二乃のお話。そして、巣立ちへ向かう少女が一人──。

 

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(五等分の花嫁93話:『ツンデレツン』より)

 

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 今週の『五等分の花嫁』、読了しました。

 全サッチソさんが泣いた第90話にて、過去編が一応の終了を見せて以降、本編の方では日常回と呼べるお話が綴られてきたわけですが…

 既に本編を読み終えていらっしゃる方は分かっている通り、物語もいよいよ佳境に入ってきそうな、そんなラストでしたね。

 今後の展開では、より本格的に五つ子ちゃんたちの『夢』や『巣立ち』にフィーチャーしたお話が紡がれていくのでしょうが、そのトップバッターとなるのが“彼女”だという点が、なんとも運命的に思えました。

 

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 本編ラストで明らかになった、“彼女”の『意志』。

 それが、今後の展開にどんな影響を与えてくれるのか…そういった部分にも目を向けつつ、今週もじっくり本編を振り返っていきましょう。

 

 ①ツンデレツンな二乃のお話

 

 まずは冒頭。

 

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 先日耳にした『一花の件』について、五月は姉妹に話していたようです。

 プールでの一件を経て、五月の中では懸念が無くなったからこそ、このタイミングで打ち明けたのでしょうが…

 二乃のこのなんとも言えない表情が、少し気にかかるところではありました。

 シスターズウォー編にて激しい衝突をしながらも、同じ『好きなもの』を話せる相手として、無事仲直りを果たした一花。

 そうでなくとも、大好きな姉妹の一人なのですから、思うところがあるのは当然なのですよね。

 修学旅行が終わってからの約2ヶ月(?)間を、一花が一体何を思って、どのように過ごしてきたのか…それが、我々読者に分かり得ないのは当然ですが、誰よりも近くで彼女の姿を見てきた二乃でさえも、きっとその真意をはかりかねている…。

 冒頭は、そんな歯痒さを禁じ得ない一幕となっていた印象です。


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 場面は変わり、病院前。

 恋愛ガイドを片手に、二乃を待つ風太郎の姿がそこにはありました。

 この時点で、プールでの二乃との話に出ていたように、店長のお見舞いに来ていたことが分かったわけですが、

 

「こういう本に頼らないと決めたんだ」

 

 風太郎が口にしたその台詞は、なかなかに印象的でした。

 彼がそうやって考えているのは、先週話における五月との会話があったからこそ。

 

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 『パートナー』、『必要』、零奈の一件や、『友達』…などなど、これまでも数多く描かれてきた、『五月の言葉が風太郎の“変化”に大きな影響を与える』という要素が、より明確に表れていたポイントであったように思えます。

 やはり、先週のお話は、ただの水着回ではなかったわけですね(笑)


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 さて、そんな『変化』の真っ只中にいる風太郎が何やら“お花”を眺めていると、彼の前に、ようやく二乃が現れます。


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 明らかに、いつもとは違う様子で。


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 その冷たい態度は、まるで出会った当初のよう。

 私に限った話ではなく、こうしたやり取りを懐かしく思った方々が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 個人的な思いを申しますと、久々の『ツン』成分を見ることができて、私としては非常に嬉しかったです。

(なお、サッチソさんは至ってノーマルな人種なので、勘違いはなさらないようお願い致します。…何の話かは察してください)


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 まあ、私の話はさておき。

 若干戸惑いながらも、特にツッコミを入れることもなくツン二乃の様子を見守っていた風太郎ですが、いよいよ彼女の思惑に確信を持ちます。

 ラブコメ作品において、たびたび描かれる『押してダメなら引いてみろ』作戦ですが、それが大成功を収める…なんてことがないのはお約束。

 ただ、本作で描かれるそれは、『風太郎(=主人公)側が作戦を完全に認識している』という点が、従来の作品たちと比べて一風変わったところでした。

 流石は、テンプレブレイカーのねぎ先生ですね。(笑)


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 ひと度作戦に気付いてしまえば話は早い。

 風太郎の心にも余裕が生まれ、

 

『可愛い所もあるじゃねえか』

 

 なんて思う彼なわけですが、


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 ここまで真に迫った様子を見せられて、いくら風太郎と言えども、心が揺らがない筈がありません。

(余談ですが、何故か私も傷付きました。とても。)


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「俺は なんて思い上がりを!」

 

 店長との会話を通じて、ますます自信喪失していく風太郎。

 というか、店長が当然のように二乃の好意に関して認識しているところを見て、『二人は普段から職場で相当いちゃついているのではないか…?』なんて疑念がふつふつと湧いてきたりするのですが…。

 それに関してはまあ、今回は置いておいて。

 まずは店長の言う通り、二乃の『心の叫び』に耳を傾けてみましょう。


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 はい(笑)


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 何ですか。やっぱりデレデレじゃないですか。

 心の声も、何とも乙女らしさ全開と言いますか…

 

『私に振り向かないフー君が悪いんだからね』

 

 とか二乃に言われたい人生でした。今まで本当にありがとうございました←

 ただ、もう少しだけ欲を言えば、やっぱりああいった台詞は、直接風太郎に言ってあげて欲しいですね。

 誰が何と言おうと、やっぱり、二乃の一番の魅力は『真っ直ぐさ』にあるのだと思うので、今後もガンガン攻めていく姿に大きく期待したいところです!

 

 さあ、まだまだお話は終わりません。


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 そんなこんなで一人反省会を開いている二乃のもとに、突如マルオが現れ、二人はいくつか言葉を交わします。


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 うーん…。何とも考えさせられるところのある会話ですよね。

 二乃としては、やっぱりマルオにも居て欲しいと思っていて…。

 一方のマルオもまた、娘たちを大切に思ってるのは明白で…それにもかかわらず、やはり父親として接することにどこか遠慮があるような印象を受けます。

 やっぱり現段階では、彼の考えていることはイマイチ読めません。

 なればこそ、今後間違いなく描かれるであろうマルオの胸中に触れるエピソードに向けて、そこに行き着くまでの過程も、一つ一つを大切に読んでいきたいところです。

 五つ子ちゃんたちとマルオが、互いにが歩み寄っていくために必要な“鍵”となる存在…それは……


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 まあ、この男以外にはいませんよね。


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 いくら自分の生徒たちの母親とは言え、赤の他人のために花を用意していて、あまつさえ自分も行こうと考えていた…なんて、めちゃくちゃイケメンじゃないですか。

 誰ですか、地味だの冴えないだの言ってた人は!

 ……あ、二n(殴


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「フー君は いなくならないで」

 

 さあ、そんなイケメン風太郎を前にして、二乃もようやく素に戻ってくれました。

 こうした台詞は、『七つのさよなら』編でも見られた、二乃の『繊細さ』が表れたシーンであったように思います。

 

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 六年前、頼れる母親はどこか遠くへ旅立ち、それを大きなきっかけとして、初めは皆同じだった姉妹も少しずつ変わっていった。

 そして、今まさに、一花が“本当の意味”で巣立とうとしている。

 皆が変わっていくこと、いつか離れ離れになることは、もちろん受け入れるつもりではあるけれど、やはり二乃にとっては、拭いきれない寂しさがそこにはある。

 

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 だからこそ、そばにいて欲しい。

 他の誰でもない、風太郎(=好きな人)に。

 ………。……………。

 

 いや、普通に告白シーンやないかい!!

 

 …なんて、リアルタイムで読んでいた時の私は、心の中で盛大にツッコミを入れることとなりました。 

 中野四葉を愛して94話(読み切り含む)である私にもなかなかの刺さるものがあったほど、非常に良いシーンでした!

 まして、二乃推しの皆さんにとってはどれほどの衝撃だったのか、想像もつきません。

 二乃推しの皆さん、ちゃんと生きてますか?

 もし無事でしたら、安否確認のためにもコメントでもしていってください←


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 また、そんな本音を孕んだ二乃の言葉に対する風太郎の返答は、あまりに頓珍漢なものでした。

 彼らしいと言えば彼らしいですが、そこまで「演技」を信じ込み、後ろ向きになってしまっていたのも、二乃からの好意を心の底から嬉しいと思っているからこそなのですよね。

 

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「ビビらせやがって」

 

 紆余曲折ありましたが、風太郎からその言葉を引き出した時点で、二乃の今回の作戦は大成功だったと言えるでしょう。


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 照れる風太郎も、喜ぶ二乃の姿も、読んでいてとても微笑ましいものがありました。

 風四信者の私でも認める(何様)ほど、この二人もまたかなりの“お似合い”だと思うので、今後もぜひイチャコラしつつ、もっと信頼を深め合っていってくれたら良いなと、個人的には思います。

 

 止まるんじゃねえぞ…。

 

 

 ②巣立ちへ向かう、一人の少女。

 

 さて、①がいつにも増して長くなってしまいましたが…作中では場面は変わって、その翌日。


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 五つ子たちは、母の墓参りに来ていました。


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 するとそこには、誰が持ってきたのか分からない花が。

 これに関して考えられるのは、マルオが密かに一人で訪れていたor江端さんなどに頼んで供えて貰った、といった可能性でしょうか。

 その他としては、勇也や下田さんの可能性もゼロではないのかなとも考えているところでもあります。

 巷で噂になっている、上中下トリオが元同級生かつ零奈さんの教え子(+αでマルオ元不良)説は、個人的にはアリかなと思っているため、その辺りの事情も含めて、今後の展開で説明されるのを待ちたいですね。


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 そして、墓参りもつつがなく終了し、その帰り際のこと。

 二乃が、持ち前の直球勝負で訊ねました。

 一花を除けば一番の姉である彼女ですから、もしかしたら、それを訊くのは自分の役目だと思ったのかもしれませんね。

 

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 まあ、肝心の一花は、知らないような反応を見せましたが。

 

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 この一件が五月の勘違いであったことを知り、安心する一同。

 …しかし、彼女が知らないのはあくまで、『家を出ること』に関しての話。

 

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「学校辞めるんだ」

 

 切なげな表情で放たれた、『決意』の言葉。

 果たして、一花の真意は……。

 

 …そういったところで、今週のお話は幕を下ろしました。

 

 なんとか本編の振り返りも終えたところで、そろそろ本稿の締めくくりに入っていこうと思います。

 

 

 ◎まとめ

 

 はてさて、今週の感想を一言でまとめますと…

 

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 一花の話を聞いた風太郎がどんな反応をするのか、めちゃくちゃ気になるって話です!

 

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 ご存知の通り、元々『休学』も視野に入れていた一花が学校を辞めなかったのは、『未練(=風太郎への恋心)』ができてしまったから。

 そんな彼女が今回下した決断が、『未練』を断つ…つまり、『風太郎を諦める』ためのものであったのだということは想像に難くありません。

 

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 ということはやはり、この時点で既に腹は決まっていたと見るべきなのでしょうね…。

 それが確定的となった今、その切なさに関して私は、90話における四葉ちゃんの独白にも及ぶものを感じました。

 当ブログでも幾度となく言及してきたように、このままでは何一つ『本当』を伝えられないまま一花の恋は“無かったこと”になってしまいます。

 きっと風太郎が一花の『夢』を全力で応援するのは間違いありませんが、彼女が吐いた最後の『嘘』を暴いて、どうか自分を許させてあげて欲しいところです。

 当然ながら、それは決して楽な道のりではないのでしょうが……風太郎はもちろんのこと、二乃を始めとした姉妹たちの活躍に大いに期待しつつ、まずは来週を楽しみに待ちましょう!

 

 

 *おまけ

 

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 余談程度に、風太郎に関して、一つだけ気になった点について言及したいと思います。

 いくら二乃の演技に騙されつつあったからとは言え、普段の風太郎の様子を見ていると、この台詞や「ビビった」という点には、少々違和感を覚えました。

 この時の彼の胸中には、『二乃に嫌われたかもしれない』といった不安が渦巻いていただろうことは明白。

 そんな時に告げた、「俺もいない方がいいだろ」という台詞──それはさながら、『二乃にとって俺は“不要”なんだ』と、そう思い込んでいるようではありませんか。

 

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 「ビビった」という点を鑑みるに、風太郎にとって、『嫌われること(=必要とされなくなること)』は、『怖いこと』ととなりつつあるのかもしれません。

 自分が必要と“され”、そしてまた、自分が必要と“している”五つ子たちが相手ならば、特に。

 

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 小学生時代などを見ていて分かる通り、風太郎の本質的な部分における『自己肯定感』は決して高くなく、むしろ、“どこかの誰かに似て”、低いとも言えるでしょう。

 そんな彼が獲得した一つの大きな『変化』…見方を変えれば『弱さ』とも取れるそれが、今後の展開にどう関わっていくのか、注目していきたいと思います。