【五等分の花嫁90話感想】運命の『再会』と、もう一つの『さよなら』。言えない“想い”を胸に抱えて、中野四葉はどこへ進む…。

 

f:id:sacchisosan:20190619011526j:image

(五等分の花嫁90話:『私とある男子②』より)

 

──────────────────

 

 今週の『五等分の花嫁』、読了しました。

 先週、先々週…否、第86話にて四葉ちゃんが『写真の子』であったという事実が発覚してからというものの、思わず胸が苦しくなってしまうような展開が織り成されてきた本編ですが、今週話は特に、そんな思いに駆り立てられるお話であった印象です。

 正直に打ち明けますと、死ぬほど泣きました。

 もっと言うと、こうして文字を打っている途中、堰を切ったように泣いてしまう時があります。

 そんな状態でしっかりと文が紡ぐことができるのかと、大いに不安はあるところですが、きっとそんな“今”しか綴れない言葉があるのだと思うところでもあります。

 いつも以上にお見苦しい文章になってしまいそうですが、どうか最後までお付き合いください。

 

 

 ①運命の『再会』

 

 と、言うわけで本編の方を振り返っていこうと思うのですが…

 

f:id:sacchisosan:20190619014356j:image

 

 『再会』したあの瞬間から、四葉ちゃんは、目の前にいる彼が“風太郎君”だと気付いていたのですね。

 中学時代時代のモノローグを見ていても覚えている様子であったため、これには素直に納得です。

 

f:id:sacchisosan:20190619015518j:image

 

 かつて『約束』を交わした少年との再会を、心から喜ぶ四葉ちゃん。

 けれど…

 

f:id:sacchisosan:20190619015310j:image

 

「恥ずかしくて言えないよ…」

 

 四葉ちゃんからしてみれば、自分は『約束』を破った、言わば裏切り者。

 先の高校での失敗の経験もあり、自己肯定感が極端に薄くなっていた四葉ちゃんが、本当のことを明かせるはずもありません。

 “風太郎君”から、“上杉さん”へと、呼び方の変化にあった四葉ちゃんの心情…分かっていたつもりでしたが、いざこうして描写を目の当たりにすると、やはり胸を締め付けられます…。

 

f:id:sacchisosan:20190619020618j:image

f:id:sacchisosan:20190619020627j:image

f:id:sacchisosan:20190619021355j:image

 

「私は知ってるよ 君のこと。 ずっと前から」

 

 たとえ風太郎君が忘れていても、私だけは覚えているから良いんだと。

 

f:id:sacchisosan:20190619023302j:image

 

 苦手な勉強も、風太郎君と一緒ならきっと頑張れると。

 きっとそうした思いを胸に秘めながら、二人で過ごした放課後。

 

f:id:sacchisosan:20190619023707j:image

 

 四葉ちゃんの中には、そんな淡い希望が芽生えていました。

 それなのに…

 

f:id:sacchisosan:20190619025257j:image

f:id:sacchisosan:20190619025040j:image

 

 気付いてしまった、三玖の“想い”。

 そして、それは三玖だけでなく…

 

f:id:sacchisosan:20190619025132j:image

 

 姉妹たちが、次々と風太郎君のことを好きになっていく様子を見ていて、四葉ちゃんは一体どんな気持ちだったのでしょう。

 

f:id:sacchisosan:20190619025613j:image

 

 もちろん、これが嘘であったわけではないでしょうが、内心で複雑な気持ちがあったのは明白です。

 私だけが知っていた風太郎君を、みんながどんどん知っていく。

 そこには確かな喜びがあって…でも、やっぱり寂しい気持ちは大きかった筈。

 彼女の胸中を渦巻いていた想い──それは、言うまでもなく……。

 

 

 ②もう一つの『さよなら』

 

 四葉ちゃん視点での作中の振り返りはまだまだ続きます。

 次の場面は、林間学校後の病院。

 五月を探していた四葉ちゃんは、偶然にも“それ”を耳にしてしまいます。

 

f:id:sacchisosan:20190619030212j:image

 

 この時の四葉ちゃんの喜びは、当然ながら、我々には計り知れないものだったでしょう。

f:id:sacchisosan:20190619105937j:image

 

 会えずにいた五年間と、再会してからの日々の中で、募り積もった一つの“想い”は、いよいよもって、その全てが溢れ出してもおかしくはないところまで来ていました。

 しかし…

 

f:id:sacchisosan:20190619110217j:image

 

「私だけ特別なんて良くないよ」

 

 先の失敗を経て誓った、『みんなのため』という思いは、それまで以上に大きな“枷”として四葉ちゃんを縛り付けてしまいました。

 そして、だからこそ、

 

f:id:sacchisosan:20190619111846j:image

 

 彼女の中には、『さよなら』しなければならないという思いが芽生え始めます。

 そこから先は、まさしくあっという間でしたね。

 

f:id:sacchisosan:20190619030452j:image

f:id:sacchisosan:20190619030504j:image

f:id:sacchisosan:20190619030516j:image

 

 風太郎と“零奈”の『さよなら』の裏側にあった、もう一つの『さよなら』。

 これに関しては全くの予想通りで、何一つ驚くようなことはありませんでした。

 が、こうして直接の描写が加わったことで、その切なさは何千倍にも増したように思います。

 

f:id:sacchisosan:20190619113511j:image

 

 無邪気な笑顔の裏側に、『みんなの幸せ』という理想への妄信的な憧憬と、果てしない『自己犠牲』を孕んで、四葉ちゃんはきっと、自らの想いと幾度と無く『さよなら』をしてきたに違いありません。

 

 そんな彼女を解き放つ方法があるとすれば、それはきっと……。

 

 

 ③中野四葉の“想い”

 

 長い振り返りは終わりを迎え、舞台はいよいよ現在へと戻ってきました。

 修学旅行からさらに月日が流れ、時期はすっかり夏休み前。

 

f:id:sacchisosan:20190619115610j:image

 

 期末試験も既に終了していたらしく、五つ子ちゃんたちの様子を見ていても、赤点を取るなんてこともなかったようですね。

 いち読者としても喜ばしい限りです。

 

f:id:sacchisosan:20190619115625j:image

 

 そんな中、三玖の進路についての話が出ましたね。

 全国模試後、『あいつらの夢を見つけてやりたい』と口にしていた風太郎ですが、他ならぬ彼自身が、三玖の『夢』を見つける大きなきっかけになったという事実には、読んでいて非常に感慨深いものがありました。

 自らの『夢』に向かって歩みを進める三玖や一花の姿を、これからもしっかりと見守っていきたいところです。

 

 一方で、そんな三玖たちと対照的に、未だ根本的なところでの停滞を強いられている少女が二人。

 

f:id:sacchisosan:20190619030537j:image

 

 本当のことを伝えるべきだとする五月。

 あくまで打ち明けるつもりのない四葉

 話は平行線をたどるのみです。

 こうしたやり取りをするのも、恐らくは一度や二度ではなかった筈でしょう。

 しかし、

 

「もう言わないで」

 

 五月は、いよいよ決定的な一言を放たれてしまいました。

 四葉がどれほどの覚悟で応援しているのかを知っているからこそ、もしかすると、五月にはもう、これ以上踏み込むことは出来ないのかもしれません。

 

 そうしたところで、場面はさらに移り変わります。

 いつぞやの『デート』の最後…否、“最後のデート”で訪れた公園には、一人ブランコを漕ぐ四葉ちゃんの姿。

 軋むチェーンは、きっと彼女を縛る“枷”を暗示しているのでしょう。

 

 

f:id:sacchisosan:20190619142621j:image

 

「上杉さん」

 

f:id:sacchisosan:20190619142636j:image

 

風太郎君」

 

f:id:sacchisosan:20190619030614j:image

 

「好きだったよ ずっと」

 

f:id:sacchisosan:20190619143007j:image

 

 6年前、京都を駆け巡る中で芽生えた“想い”。

 高校での再会を経て、一緒に過ごす日々の中で、膨らみ続けた“想い”。

 伝えたくて、伝えることが許されなくて、隠した“想い”。

 

 辛く悲しい…けれど、確かな幸せを感じていられた、中野四葉の『初恋』は、その日、一つの終わりを迎えた──。

 

 非常に切ないラストでしたが、第90話たる今週のお話はそうしたところで幕を下ろしました。

 

 …本編の振り返りも終えたところで、いよいよ本稿の締めくくりに入っていきたいと思います。

 

 

 ◎まとめ

 

 さて、本日も長々と文字を打ってきたわけですが、今週の感想を総括しますと…

 

f:id:sacchisosan:20190619144853j:image

 

 四葉ちゃんが花嫁じゃなかったら納得できないかもしれない……!!

 

 なんて思いを抱かずにいられないお話でした。

 

 ここ数週間のお話を読んでいく傍らで、これまでの作中の四葉ちゃんの言動などを何度も振り返ったのは、果たして私だけでしょうか?

 

f:id:sacchisosan:20190619175449j:image

 

 この『五等分の花嫁』という物語が始まった時点で、既に五年間も“風太郎君”を想い続けていた四葉ちゃん。

 本人は頑なに認めようとはしませんが、彼女もまた、間違いなく、報われるべき女の子なのですよね。

 

f:id:sacchisosan:20190619170714j:image

 

 我々読者としても、彼女のこの言葉が『嘘』ではなかったということが知れたのは、確かな僥倖であったように思えます。

 あとは、一刻も早く彼女が『本当』を伝えられる日が来ることを祈るのみ。

 …と言いたいところですが、『本当』を伝えるべきヒロインは、もう一人だけいますね。

 

f:id:sacchisosan:20190619172105j:image

f:id:sacchisosan:20190619172027j:image

 

 これまでの記事でも述べてきましたが、五月がこれ以上踏み込めない可能性がある以上、風太郎が『真実』を知る上で大きな役割を果たすのは、やはり一花のような気がします。

 今週話にて姿が見られなかったのは、女優業が忙しくなりつつある証拠でしょうか?

 そうなると、きっとそう遠くないうちに、再び一花にスポットが当たる、『休学or自主退学騒動』のような展開があるかもしれません。

 実際にそうした展開になるのかは定かではありませんが、一花にも、はっきりと自分の想いを伝えられる日が来ることを願うばかりです。

 

f:id:sacchisosan:20190619190325j:image

(あの心からの笑顔を、もう一度…!!)

 

 そして、そんな一花や四葉のためにも、風太郎には本当に頑張って欲しいところですね。

 彼に何一つ力を貸すことができないことは、非常にもどかしく感じられるところではありますが…

 五つ子ちゃん…特に四葉ちゃんの『幸せ』と、風太郎自身が後悔のない『好き』を見つけられる日が来るように、今後も当ブログでは、彼らを全力で応援させていただきます!!