【五等分の花嫁89話感想】変わりゆく『姉妹』。変わらない『絆』。『運命』に導かれ、少女は再び“彼”と出逢う。

 

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(五等分の花嫁第89話:私と姉妹②より)

 

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 さて、今週もいよいよ『五等分の花嫁』について語る時がやってきました。

 先週、先々週に引き続き、今週のお話でも四葉ちゃん視点での五つ子ちゃんたちの過去が描かれたわけですが…

 

 今週話は、まさしく中野四葉の“今”を大きく形作ったお話だったような印象を受けます。

 

 それと同時に、どんな時だって色褪せることのない姉妹たちの『絆』を、またもや再確認させられたところでもありました。

 以前の記事でも語ったように、【シスターズウォー編】を経て、我々読者にとっても、『五等分』の考えは重みが増したように感じます。

 

 本稿では、そういった点を踏まえつつ、風太郎との別れや、尊敬する母との死別を経て、四葉ちゃんが一体どんな『変化』を迎えていったのかに焦点を当てながら、本編を振り返っていこうと思います。

 

 

 ①変わりゆく『姉妹』

 

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 さて、作中冒頭では、五つ子ちゃんたちの小さな『変化』の様子が描かれました。

 一花に引き続き、三玖や二乃も髪を切るような発言をしており、より明確な『個性』の表れがこの時期からであったことが窺えます。

 

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 そして、そんな中でも、最も『変化』に溢れていたのは、間違いなく四葉ちゃんだったのでしょう。

 皆の『お手本』になるべく…風太郎との『約束』を果たすべく、自分なりに努力を重ねていく四葉ちゃん。

 

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 しかし、父の反応はあくまで淡々としたもの。

 

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 自らの進んでいく道に対して、どこか不安そうな表情を覗かせながらも、彼女は亡き母や、かつての少年に思いを馳せて、なおも努力を続けます。

 …が、突如として“その時”は訪れました。

 

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 努力の甲斐あって、確実に点数を伸ばしていった四葉ちゃんですが、あらゆる要素が噛み合って、三玖の方が良い結果を出してしまいました。

 無論、本来とても姉妹思いの彼女ですから、当然ながら喜ばしい気持ちはあったのでしょう。

 …しかし、四葉ちゃんからしてみれば、自身のこれまでの努力をあっさりと否定されてしまうような、そんな出来事でもありました。

 本音の部分では彼女が何を感じていたのかは分かりませんが、それを機に、彼女の中では確かな“揺らぎ”が始まります。

 

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 必死の努力も虚しく、四葉ちゃんはとうとう『お手本』にはなれませんでした。

  (描写から読み取るに、五月の成績も四葉ちゃんを上回るものとなったのだと思われます)

 

 勉強では一番になることはできなくて…

 母の言葉の真意も分からないままで…

 

 恐らくは相当悩んだ結果、『誰かに必要とされる』ための、“他の方法”を見出すことにしたのでしょう。

 

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 高校生となり、姉妹が各々変わっていく中、四葉ちゃんは部活に精を出し始めます。

 『誰かに必要とされる』ための、『自分が特別である』ためのアプローチとしては、なるほど確かに正解の一つではあったのでしょう。

 …しかし、そこには確かな“間違い”がありました。

 

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(『五人一緒』を拒む四葉ちゃん。)

 

 先週の感想記事でも触れましたが、このことは、母の遺した言葉の意味を、五人が『同一であること』と捉えてしまっていたことが大きな原因だとして考えられます。

 三玖にとってしまったこの態度も、母の教えに対する精一杯の反抗であると同時に、もはや“意地”と呼ぶべきものだったのかもしれません。

 いずれにしても、当時まさしく輝いていた四葉ちゃんからのその言葉は、三玖が姉妹に対する劣等感を抱く遠因を作ってしまいました。

 意識的か否かは分かりませんが、【シスターズウォー編】で頑なに三玖を応援し続けていたのも、きっと彼女への贖罪の気持ちの表れだったのでしょう。

 

 『変化』の先にあったのは、四葉ちゃんの精神的な孤立。

 そして……

 

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 ②変わらない『絆』と、『運命』

 

 決定的な間違いを抱えたまま、起こってしまった一つの“事件”。

 必然といえば必然で、誰がどう考えても自業自得です。

 そこに関しては同情の余地はありませんし、するつもりもありません。

 しかし、これまで信じて積み上げてきたもの──言わば『心の支え』を、一瞬にして失ってしまった彼女の絶望は、我々の想像を絶するものであったことだけは言うまでもありません。

 

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 父から与えられた救済余地も、当時の彼女には何の救いにもなり得ません。

 必死な努力は報われず、『心の支え』も完全になくなってしまった。

 

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「私 なんで一人なの?」

 

「一人になったら私はどうしたらいいの?」

 

「どうしたら特別になれる?」

 

「どこに進んでいいのかわからないよ…」

 

 心を果てしない“黒”に覆い尽くされた彼女が、何もかもを見失いかけた──まさに、そんな時でした。

 

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 姉妹たちからの、『救い』の言葉。

 それぞれが…四葉ちゃんが、どんなに変わってしまっても、五つ子の『絆』だけは絶対に変わることはないのだという、ただひたすらに真っ直ぐな思い。

 特に、四葉ちゃんにとっては、他ならぬ三玖の口からそれを伝えられたことが、一番の『救い』だったのだと思います。

 彼女にとって三玖がほんの少しだけ特別になったのは、やはりこういった経緯があったのこそだったのですね。

 

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 そして、そんな『救い』の根本にあったのは、やはり亡き母の教えでした。

 

 喜びも、悲しみも、怒りも、慈しみも…どんなことだって五等分して、乗り越える。

 

 随分と遠回りをすることとなってしまいましたが、母の遺した言葉の意味が、ようやく四葉ちゃんにも伝わりました。

 

 しかし…

 

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 同時にそれは、四葉ちゃんにとって大きな『枷』となってしまいます。

 “間違い”を乗り越えた先に生まれてしまった、新たな“間違い”。

 姉妹たちはそんな彼女の胸中など知る由もなく、且つまた、きっと本人にもその自覚はないままで…作中での時間は、さらに流れていきます。

 

 そして──

 

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 『運命』に導かれて、二人が再会を果たす──ちょうどその場面で、今週のお話は幕を下ろしました。

 四葉ちゃんの視点で描かれる再会のシーン…果たしてその時の彼女の心の内は……。

 

 とまあ、そういったところで、そろそろ本稿の締めくくりに入っていこうと思います。

 

 

 ◎まとめ

 

 さて、今週も大雑把に本編の方を振り返ってきました。

 簡単に今週話の感想を総括をすると、

 

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 風太郎との再会に、四葉ちゃんが何を思っていたのかがめちゃくちゃ気になるって話ですよ…!!

 

 中学時代の様子を見ていても分かる通り、彼女が高校に上がってからも、風太郎の名前を覚えていたのは間違いありません。

 なればこそ、顔を合わせたあの瞬間から、四葉ちゃんは全てに気付いていた筈なのですよね。

 また、その一方で、本当は気付いていながらも、わざと気付かないフリをしていた(別人だと思うように自分に言い聞かせていた)可能性もゼロではないのかなと、個人的には感じています。

 そうすると、

 

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 0点のテストを嬉々として見せたり、

 

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 かつての少年を前に軽々と『デート』と口に出来てしまえるなどの行動にも、腑に落ちる点があります。

 そしてまた、やはり本当は気付いていたからこそ、

 

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 と、溢れてしまった想いがあるのかな…なんて、思っているところです。

 

 いずれにしても、四葉ちゃん視点での過去編のお話はそろそろ幕を下ろしそうな印象があります。

 来週のサブタイトルは、【私とある男子②】といったところでしょうか。

 風太郎との再会、そしてまた、『零奈』関連の出来事について描かれるのではないかと個人的には予想しているわけですが…

 

 たとえどんな展開が待ち受けていたとしても、これから先も四葉ちゃんを応援し続けるという私の意志は変わりません。

 むしろ、ここ最近の展開を見ていて、そんな思いがますます強くなっているのが分かります。

 

 毎度繰り返しになるようですが、風太郎を信じ、四葉ちゃんの幸せを心の底から願いながら、まずは来週を楽しみに待ちたいと思います!