【五等分の花嫁88話感想】刻まれた『思い出』と、遺された『枷』。 少しずつ、物語は“今”に近づいていく。
(【五等分の花嫁88話:私とある男子①】より)
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五等分の花嫁88話、読了しました。
現在の本編では、『写真の子』・四葉ちゃん、延いては五つ子ちゃんたちの“過去”に触れる展開がなされているわけですが、彼女たちの“今”を見ていても分かる通り、この『過去編』にはたくさんの辛い展開が待ち受けているということは予見されていました。
そして、今回は、その第一のポイントとなる話であったと思われます。
本編を読んだ時、皆さんはどう思ったことでしょうか?
私はと言うと、あまりの辛さと、その衝撃に、その後しばらくはろくに物も考えられなくなっていました。
正直なところ、今こうやって文字を打っているだけでもいっぱいいっぱいです。
しかし、この後も続いていくであろう辛い展開のことを考えると、やはり立ち止まってなどいられません。
この辛い展開を乗り越えた先には、必ず幸せな未来はある筈です!
それをこの目で見届けるためにも、しっかりと気を引き締めつつ、まずは今週のお話を振り返っていこうと思います。
①刻まれた『思い出』
さて、本編冒頭では、四葉ちゃんと風太郎の、“初めて”のデートシーンが描かれました。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、作中では気が付けば夜。
そんな折、四葉ちゃんらしいミスで、彼女はこのままでは帰ることもできない状況に立たされてしまいます。
そんな彼女を見て、
風太郎も風太郎で、あまりに彼らしいやり方で、自ら四葉ちゃんと同じ状況に立ちます。
彼女を一人で置いていくことが気掛かりだったのはもちろんそうでしょうが、彼の心の奥底には、もう少しだけ彼女と一緒に居たいという気持ちがあったのかもしれませんね。
ちなみに、この時には叶わなった『一緒にバスに乗る』ということが、6年の月日が経って実現していたという事実が、個人的には強く印象に残りました。
さて、『思い出』の話はまだまだ続きます。
「そしたら きっと私がいることに意味ができると思うんだ」
風太郎と言葉を交わす中で、『五倍頑張る』の真意が明かされました。
この様子から、風太郎に姉妹のことを明かさなかった理由も垣間見えた気がします。
彼女は、『自分』が欲しかった。
同時に、自分が変わることができれば、それがきっと『母のため』になると、彼女は心の底から信じていたのでしょう。
そして、その『家族のため』という真っ直ぐな思いは、風太郎にも影響を与えます。
交わした『約束』。
そして、一つの『お願い』。
この時彼らが何を願っていたのか、私たちには分かりません。
ただ、その後の二人を真に運命付けたのが、この瞬間だったということだけは言うまでもありませんね。
この時の四葉ちゃんが風太郎に抱いた想い、果たしてそれは……。
②遺された『枷』
二人が話しているところに、一人の人物が現れます。
そしてその人物とは、皆さんご存知の通り、マルオでした。
零奈さんからの相談があったとはいえ、わざわざ京都にまで駆けつけるなんて…並みの行動力ではありません。
やはり、この時点で既に、五つ子ちゃんたちのことを任されていたと考えるのが自然でしょうか。
後々の展開も考えると、やはり切ない気持ちにならざるを得ません。
また、切ないといえば、もうワンシーン。
一花を『写真の子』と思い込み、楽しそうに接する風太郎の姿を、四葉ちゃんは二乃と共に見てしまいます。
二乃に関しては、以前のセリフがここで完璧に回収されたわけですが…
ともあれ、この出来事は、
四葉ちゃんにとって、『自分』を見出すためのもう一つの大きなきっかけともなります。
風太郎との“約束”通り、勉強を頑張って、結果も出した。
ほんの少し見た目も変えて、
「これが私、中野四葉なんだ!」
と、自信を持てるようになった。
それなのに…
母は、そんな彼女の『変化』を、決して肯定はしてくれませんでした。
その理由は、零奈さんの言葉からもしっかり明かされています。
「あなたたちは一人一人特別です」
そう、わざわざ変わろうとすることなんてなくても、彼女たちは『特別』なのです。
一花はガキ大将で、五月は他の姉妹の誰よりも母が大好きで、四葉ちゃんも運動が得意になりつつあって…本人たちに自覚が無かっただけであって、そこには確かな『個性』が存在していました。
もちろん、変わること、変わろうとすること自体は、やはり間違いではないのでしょう。
けれど、四葉ちゃんが望む通りに変われた未来が訪れたとして、果たしてそこでは、『五等分』は成立するのでしょうか?
「私はみんなのお手本だから」
そう言って、四葉が何もかもを一人で抱え込んでしまうような、そんな未来があったのではないでしょうか?
零奈さんはそれに気付いていて…そして、だからこそ、“自分が居なくなった後”でさえも、どんなことも五人全員で力を合わせて乗り越えていけるようにと、
この言葉を遺したのではないでしょうか。
しかし、悲しいかな、そんな母の本当の気持ちがはっきりと伝わらないまま、“その日”は訪れてしまいました。
最愛の母の死。
姉妹の『変化』と…そして、新たな生活の始まり。
立て続けに大きな出来事がありながら、無常にも月日は流れていきます。
中学生になり、それぞれが違いを見せ始めた五つ子たち。
このページでは、また一つ、我々も見たことのない四葉ちゃんの表情が描かれました。
モノローグなどを見ていても、やはり四葉ちゃんは、母が、五人が“同じ”であることを望んでいたのだと思い込んでしまっているように見えます。
しかし、そう考えてみると、この時点ではまだ、母の言葉が『枷』となっているとまでは少しばかり考え辛いところです。
なればこそ、来週以降では、その教えが彼女たちにとって重要な意味を持つようになる展開があるのでしょう。
そういったポイントを踏まえつつ、いよいよ本稿の締め括りに入っていくことにします。
◎まとめ
さて、今週のお話では、『写真の子』・四葉ちゃん視点で、6年前の真相が明かされました。
互いに『自分は必要のない人間なんじゃないか』という思いを抱えていた二人の邂逅は、誰が何と言おうと、『運命』に他ならないものだったのでしょう。
あの日の『約束』、そして『お願い』は、『さよなら』をした今でさえも、二人にとって大切な思い出なのは間違いありません。
個人的には、それが、今なお一人で抱え込んでいる四葉ちゃんを解放するための『鍵』となってくれたらいいなと思います!
差し当たっては、来週以降の展開でしょうか。
先週から今週にかけてのタイトルの推移を見るに、次回のタイトルは【私と姉妹②】だと予想されます。
それが一話完結なのか、数話ほど続くのかは分かりませんが、五つ子ちゃんたちの中学時代や、四葉ちゃんが落第するまでの経緯が描かれると考えていいでしょう。
これに関しては、最後に、自分なりの予想を記すことにします。
四葉、中学にて運動能力が開花。
成績が伸び悩んでいた時期に、部活の助っ人などを通して、勉強以外でも『誰かに必要とされる』方法があることを知り、以来、『人助け』に励むようになる。
(同時に、かつての明るさと笑顔を取り戻し、現在の性格が形成される)
↓
『七つのさよなら』編のように、『人助け』をするあまり勉強が手につかないことが増え、成績は下がっていく。
↓
物語開始前、上記のことが原因となり、彼女だけが追試験をクリアできず、落第が決定。
↓
一人だけ転校しようとするも、姉妹は母の教えに従って、四葉に付いてくる。
『皆を不幸にした』という自責の念に駆られてしまう出来事であったのは間違いないが、彼女にとってそれは紛れもなく『救い』でもあったため、以降は母の教えを受け入れ、結果、それが大きな『枷』となる。
…といったところでしょうか。
これが当たっているかは定かではありませんが、用意されているシナリオは、恐らくは文字だけでは到底表すことのできない、とても辛いものである筈です。
とは言っても、現在の本編で語られているのは、どう足掻いても変えることのできない『過去』。
四葉ちゃんも、五月ちゃんも、風太郎も、『未来』に向けて歩みを進める以外の選択肢はありません。
そしてまた、我々にできるのは、風太郎を信じて、ヒロインたちの幸せを願い続けることだけです。
いつの間にか風太郎は、我々読者全員の思いを背負った、本当に素晴らしい主人公になってくれましたね。
彼のことを心から信じつつ、まずは来週以降の展開に期待していきたいと思います。
(最後雑になってすみませんでしたm(_ _)m)